なんでかな……鷹羽くんは付き合っている訳でもないし、私のものでもないし……そもそも、恋人同士になったからって、人を所有物扱いってどうなんだろう。

 そんなことをつらつら考えながら、彼らを追い掛けて靴箱を過ぎて正門まで歩いて来た。

 そして、いつもと正反対の方向に曲がり、十歩くらい前に居る鷹羽くんは腕を上げて無理に寄り添おうとする夕凪さんを遠ざけようとしているみたいだけど、離れて見て居る私が見てもそれは上手く行ってない。

 向かい風のせいで、前髪が乱れそう。私は通学バッグを持ってない方の、手で前髪を押さえた。

「……たかばくん」

 かすかに聞こえて来た彼の名前に、私は前を見てドキっとした。

 また夕凪さんが鷹羽くんの腕を組もうと腕を絡ませているところだったからだ。

 鷹羽くんは向き合って、何か真剣な顔をして夕凪さんに言っているみたい。

『好きな子が居て誤解されたくないから、やめてほしい』

 とか言ってるんだったら良いな、なんてぼんやりと思って、はっとして私は身を隠せる場所を探した。