「うーん。どうかな? でも、鷹羽くんはこの後、バスケ部の部活あるんじゃないの?」

「そっか……それも、そうだよね」

 私は一人ドキドキしてた。

 実は今日、夕凪さんの帰り道を着けることに決めていた。

 敵を倒すには、まず敵を知ることから。

 今は彼女が何を望んでいるか何をしようとしているか、全く訳がわからない状況だから、どうしても恐れが先に来てしまうけど、ここは勇気を出して、交友関係や夕凪さん本人のことを知ることから始めたい。

「あ。二人で帰ることにしたみたい」

 なるべくなら見たくない。見たくないけど、勇気は出さないといけない。

「わかった……私も先に帰るね。ごめん、寧々ちゃん」

「……え?」

 一人驚く寧々ちゃんを残して、私は足早に廊下に出た。

 そこには鷹羽くんの大きな黒い背中にスポーツバッグ。その隣には夕凪さんのサラサラの長い髪が靡く。

 なんでか隣り合って歩く二人の姿を見れば、胸が痛い気がして、不意に立ち止まる。