「え？　付き合ってるふりをやめる？」

　私は頷いた。次の日のお昼休み、また行高が当たり前のような態度で迎えに来てくれたから、屋上でお弁当を食べながら切り出した。行高は今日は流石に朝練に出たみたいで家の前では待っていなかった。

「行高も、私に時間使うより、もっと時間を有意義に使った方が良いよ」

「……有意義って、なんだよ」

　行高は仏頂面でも可愛らしい顔をしかめた。こういう顔しても様になるのは、素直に本当に羨ましい。容姿が良いって本当に良いよね。

「もっと、可愛い女の子と遊びに行ったり……」

「やってるよ。今、可愛い女の子とお昼ご飯食べてるし」

「……行高って、目が悪かったりする？」

「は？　両目とも視力1.5だし。どっかの眼鏡野郎と俺を一緒にするなよ」