「鷹羽くん。似合うけど、眼鏡どうしたの~? 目が悪かったの?」

 放課後ホームルームが終わった後。鷹羽くんが近くを通り過ぎようとした時、人見知りしない明るい寧々ちゃんが何気なく彼に聞いた。

 そう、そこ、それ。私も急に眼鏡をかけてきた理由を、聞きたい。

「いや……近視が進んできたから。そろそろ掛けようかと、思い立っただけ」

「そうなんだ。鷹場くん。眼鏡、似合うよ!」

 わざわざ立ち止まった鷹場君に、にこにことした笑顔で寧々ちゃんは言った。

 近視が進むと、黒板見えないもんね。鷹場くんって後ろの席だし……うん。いくら勉強出来るって言っても黒板見えないと死活問題だし、そうなるよね。

「有馬は、どう思う?」

 二人の会話を聞いているだけのつもりだったから、鷹羽くんの思いもしない言葉に私は一瞬固まり、つまりながらなんとか言葉を出した。

「に! ……似合うと思う」

「そう? ありがとう」