「私のことで鷹羽くんが怒るなんて変だよ」

「どうして……僕は有馬が好きなのに」

 私は立ち止まってはあって息をついた。顔が熱くて、暗い中街灯の光しかなくて本当に良かったと思ってしまった。

「もうむり。心臓……飛び出る……」

「え?」

「良くそんなこと言えるよね。……慣れてる?」

「そんなことないよ。自分から告白したのは……これで最初」

「……告白されたのは?」

 ぐっと鷹羽くんは詰まった。そうだよね。なんだか、意地悪な気持ちで思った。

 同学年の子も人気なんだけど、鷹羽くんはこの春に後輩になった一年生の子達にも人気あるものね。

「有馬が本当に聞きたいなら、ちゃんと言う」

「ふっ……ごめん。ちょっと意地悪したかっただけだよ」

 私の笑った顔を見て鷹羽くんは顔をしかめた。もっとも薄明かりだからもしかしたら彼は笑っているのかもしれない。今はそれがどっちだかわからないくらい、そのくらいの暗さだ。

「有馬は……明日からも、あの虎井と付き合うふりするの?」

「あ、そうだ。それは、忘れてた」

 私はそれを聞いて、慌ててしまった。