「僕の言ってること信じられない?」

「う、ううん。これは、鷹羽くん側でなくて私の問題。私なんかに、鷹羽くんに好きになってもらう要素あるのかなって……そう思っただけ」

「私なんかって?」

 少し真面目な顔をして鷹羽くんは私を見た。

「私みたいな……その、何の取り柄もない人間にって思っちゃって」

「許せないな」

「えっ?」

「僕の好きな人にそんなこと言って欲しくない。例え、有馬本人でも」

 私のことをじっと見つめる眼鏡の奥が真剣だから、私はふっと笑ってしまった。

 ふわふわ雲の上を歩いている気分。帰り道はあの曲がり角を曲がったらもう家に着く。この道がずっとずっと続けば良いのになんて、そんなことを思ってしまった。

「変なの」

「変? なんで?」