こんな男の子。同じ学年に居たっけ?

 というか、私の名前呼んだよね? 私の知り合いに、こんな格好良い人居たっけ?

 誰なのだろうと混乱している私に、彼はにこっと爽やかに笑いかけると、うちのクラスへと躊躇なく入っていく。

 ……もしかして、あれって鷹羽くん? 

 そうだ。睡眠不足で回転がにぶくなっている頭で、ようやく思いついた。

 さっきみたいによくよく間近で見たことなんてないけれど、あんな綺麗な顔をしている男の子はそうはいない。

 いつもより騒ついている気がする教室の前を抜け、私は自分の席につく。

 前の席の寧々ちゃんが、通学バックから教科書を出している私を振り向いた。

「ねえねえ。澪。今日、鷹羽くん見た?」

「え……鷹羽くん? やっぱりあれ鷹羽くんなの?」

 やっぱりそうなんだ。イメチェンしたら別人みたいに変わったんだもん。

 疑問形の私の声に、寧々ちゃんは興奮したように何度か頷いた。

「びっくりしちゃった。今日は眼鏡もかけて、髪だって短く切ってるの。急にイメチェンして、どうしたんだろうね?」

 私は何故だか、昨日の寧々ちゃんと自分の会話がフラッシュバックした。

 そんな訳、ない……そんな訳ないのに。

 まさか、だよね。