何故そんなことを? と言わんばかりに、鷹羽くんはオウム返しに私の言葉を繰り返した。

「うん、鷹羽くんが夕凪さんと一緒に帰っちゃってね、あんまりその様子がおかしかったから、それで友達の寧々ちゃんに言ったら、行高を紹介してくれたの。こうやって誰かと付き合っているふりすれば鷹羽くんが……少しは私のことを気にして真相を教えてくれるかもって。彼は付き合う練習相手を探してて、それで、今日初めてこんなに話したし、初対面に近いのに呼び捨てなのも、そう呼ぼうって決めたから」

「……そうか、真相」

 鷹羽くんは顔を俯かせると、静かに何かを考え出したようだった。その様子を見て私はなんだか焦って言った。

「その! 言いたくないのなら、事の真相は、言わなくて良いよ。そうじゃないの。ただ、その……お互いに何も言わないままで、このままの状態があまり良くないなっていうのは私もわかっているから、何が起きたか説明だけ、しておきたくて」

「有馬……」

 鷹羽くんは少し考え込むようにすると、隣り合って座っている私と行高を交互に見た。

 どこか決意を秘めたような、そんな強い視線だ。