「私たち、付き合ってないよ」

 私は目に力を込めてそう言った。これまでの経緯を思えば落ち込んでしまったのか行高は隣で目に見えてしゅんとしたし、鷹羽くんはホッとしたのか立ち上がりかけたところを座り直した。

「行高は別に居ても良いから……本当に、本当に黙ってて。これ以上、口出しをしないで」

 私は小さい子に言い聞かせるように言った。この人が口出ししたらややこしくなることは、今まででも良く分かっていた。行高は仏頂面を更に不貞腐れさせてそっぽを向いた。

「私たちは実は付き合っている振りをしてたの」

「付き合っている振り?」