言い合ってる私たちを交互に見て、鷹羽くんは混乱したのか声を掛けた。

「あの、二人。ちょっと、待って」

「なんだよ」

 行高はじろっと挑戦的に鷹羽くんを見た。鷹羽くんは私を見て悲壮な声で言った。

「今……有馬は虎井と付き合ってるってこと?」

「そうだよ」

「それは、違う……もうややこしいから、行高は黙っててくれる?」

 私のムッとした声に気が付いたのか、行高は渋々黙った。

 そこを通り過ぎるサッカー部の子達の集団が帰っていく。

 冷やかしの目線と「ゆっきー、まけるなー」とか「うわ、鷹羽と張り合ってるよ、よくやる」とか聞こえたけど、もう全部見なかったことにするし、全部無視。

「そのことも含めて! 鷹羽くんにちょっと話がある。行高は居ても良いけど、黙ってて」

 二人は私の勢いに気圧されるように、何度か頷いた。

「とりあえず何処か移動する? 帰り道に確かカフェとかあったと思うから。二人共、時間平気?」

 鷹羽くんはスマホで時間を確認しながら言った。それもそうだよね。これから続々ああいう集団が、部活棟から出て来るってことだもの。