「暗くなっているし、そんな訳にはいかないよ。お願いだから送らせて」

「……でも」

「……澪!」

 はあはあ、と息を切らせて走って来たのは行高だ。長めの黒髪を乱して、大きなスポーツバッグを肩から下げている。

「え! 行高、どうしたの」

「……え?」

 私が驚いて彼の名前を呼べば、鷹羽くんは凄く驚いたようで口を開けた。

「どうしたのって……どうして、こんな時間に学校に?」

「私、鷹羽くんのこと待ってて」

「は? そいつ、告白した癖に他の女とつるんでいる奴だろ? なんで?」
 
 明け透けに話し始めた行高に、私は何を言い出すのかと慌てた。

 その理由をこれから聞こうと思っていたのに!

 そっと隣に居る鷹羽くんの様子を見ると、彼は固まっているかのように動かない。