「……俺も、話したかった。あ、あのっ、連絡先! 聞いて良い? なんで、あの時にすぐに聞かなかったのかって後悔してて、ずっと」

 スマホを出して来たので、私も取り出す。

 皆が使っている通信アプリで登録した。電話番号も、と言われたから、それは口頭で言って一度掛けてもらう。

 やけに嬉しそうな笑顔と、わざとらしくない小さいガッツポーズに頬が緩んだ。

 立ち話もなんだから、と歩き出すことにしたけど、鷹羽くんはゆっくり私に歩幅を合わせて歩いてくれる。

 長い足がじれったいくらいゆっくりと歩を進める。

 聞かなきゃ……聞かなきゃと思う気持ちと、頭の中が整理出来ない。

「あの、あのね。鷹羽君」

 正門の前まで来て、私はここで絶対に話を切り出そうと思った。

 出身中学の関係で鷹羽くんの帰る方向は、自分と反対方向だということを知っているからだ。

「うん? あ、有馬、家ってこっちだろ? 送ってくよ」

 部活帰りに疲れているというのに、私の帰る方向に進もうとする鷹羽くんを呼び止める。

「え? 悪いよ。少しだけ話せたら良いなって思ってただけだから」