「そうなんだ。行高、積極的だね。……こっちはやっぱりちょっと様子おかしいわ。鷹羽くん、夕凪の誘いを何度か断っていたみたいなんだけど、結局最後には着いて行っちゃうし、夕凪なんだか強いよ、うちのクラスの女子の抗議の視線を向けられてるけど負けてないわ。よくわからないけど、やっぱり鷹羽くん、夕凪に弱味でも握られてるんじゃない?」

「でも」

「なに?」

「それって、私がどうにか出来ることなのかな? 鷹羽くんが何も言わないなら、もう……」

「澪……」

 寧々ちゃんが何か言いかけたところで、チャイムが鳴る。

 私は次の授業の教科書とノート、筆記用具なんかを出しながら、鷹羽くんが言ってくれたことを思い出してた。

 こんなモブみたいな私を最初に好きになってくれた人。

 困っている立場にあるかもしれないのに、そのままにしてしまっても良いの? 後悔しない? 本当に?

 なんだか念仏みたいに聞こえる先生の声を聞きながら、私は自分に問いかけていた。

 体育の前、今は詳しくは言えないって言ってた。

 じゃあ、いつならば言えるのかな? 夕凪さんは何を知っているんだろう?