私は唐揚げを口に入れながら言った。こういう名前って、仲良くなるにつれて自然に呼び捨てになるものだと思うんだけど、わざわざ聞いてくるなんて律儀な人だ。

「俺のことも名前で呼んで欲しいんだけど」

「うん、行高くん?」

 そう私が呼ぶと悶えるように自分を抱きしめた。大袈裟だなあ。

「出来たら呼び捨てにして」

「行高……? どうして?」

「だって、その方が付き合ってるっぽいだろ?」

「……えっと、行高。私達って付き合ってるの?」

「え?」

「あの……その、今日話したばかりだし、ねえ、寧々ちゃんからどう聞いてる? 朝も言ってたけど、練習、なんだよね?」

 本格的に付き合うという訳でもなく練習だったはずだと私は確認するように言うと、行高は少し拗ねたみたいな顔をすると口を尖らせた。

「うん。練習。つきあってる振りしたら良いんだろ? わかってるよ」

「それなら良いよ。なんだか、私たちの会話を思うと本当に付き合ってるみたいだなって思っただけ」

 真顔になった行高だって可愛い顔をしているんだから、モブ並みの私よりもっと可愛くて良い子が他にいくらでも居るはずだ。

「俺は……」