「有馬ー」

 昼休みに入った途端、窓から身を乗り出して虎井くんは私の名前を呼んだ。

「あらあら、ゆっきーが来たわよ。澪」

「寧々ちゃん、もう。止めてよ」

 完全に面白がっている寧々ちゃんを置いて窓際の虎井くんに近づいた。

「虎井くん、何?」

「一緒に昼飯食おうぜ」

「え? でも、私いつも寧々ちゃんと食べてるから」

 渋る私の顔を不満そうに見て、寧々ちゃんの方に声をかける。

「寧々、有馬借りて良い?」

「良いよー。澪、私は他の人と食べているから行高と食べておいでよ」

 私本人の意志関係なく、二人の貸し借りされてる。むうと不当な扱いに頬が膨らみそうになる。机の上に置いてあった私のお弁当箱を持って寧々ちゃんが近づいた。

「……鷹羽くん、見てるよ。目がすごく辛そうだし、様子がおかしい。夕凪の奴も一緒。私はちょっとあの二人の様子見てみるから、行高とお昼行ってきなよ」

 寧々ちゃんはひそひそ声で耳元で言う。

 私は慌てて頷いて、鷹羽くんの方をそっと見た。