「ねえねえ、試合終わったらせっかくだし行高見に行かない? サッカー部だし、いくらあいつでもサッカーで活躍出来ないとかないでしょ」

「寧々ちゃんが言うと虎井くんも形無しだね」

 あっけらかんと幼馴染の虎井くんをこき下ろす寧々ちゃんに私は苦笑した。

 やる気のないバスケットの試合が終わってキャーキャー言いながら積極的な女の子達はグラウンドに飛び出して行く。

「澪、行く?」

 タオルで顔を拭きながら寧々ちゃんは言った。

「うん、寧々ちゃん日に焼けたくないのに、付き合って貰ってごめんね」

「ううーん。行高も見せたいけど、鷹羽くんも謎だよね。……夕凪に何か脅されているとか?」

 ぐっと伸びをしながら寧々ちゃんは言った。試合の合間にさっき鷹羽くんに言われたことは報告済だ。

「そんな訳……あるのかなあ?」

 私は体育館を出ながら寧々ちゃんの顔を見た。じっと二人で見つめ合って、首を傾げ合う。

「わかんないよ~、じゃないとこの良くわからない事態の意味がわからなくない?」

「そうかなあ」

 私の前にサッカーボールがてんてんと転がってくる。

「悪い、取って」