行高は、虎井くんの名前だ。フルネームは虎井行高。虎井くんは寧々ちゃんと名前で呼び合う仲? 二人はどんな関係なんだろう?

「虎井くんと寧々ちゃんって、どんな関係なの?」

「んー。幼馴染なんだけど、腐れ縁かな。保育園の頃から一緒。あいつ、小さい頃から泣き虫でさ、今はちょっとカッコつけてるかもしれないけど、中学校の頃は背が伸びなくてチビだったし、女の子意識しすぎて何も話せなかったんだよね。この高校って持ち上がり多いから、そういうイメージを最初から持たれているから、彼女が出来にくいのよ」

 ちなみに、鷹羽くんや私は外部受験だ。中学校からの持ち上がりって、そんなものなのかな。

「ふーん。格好良いのにね?」

 格好良いけど、可愛いっていうのが正しいのかな? 今日初めて間近で見た虎井くんの顔を、思い浮かべた。

 少しだけ赤くなった頬が、また可愛かった。

「そのまま、行高と付き合っちゃえば? 向こうから告白して来た癖に、意味不明の行動を取る奴より良いかもしれない」

 寧々ちゃんはそう言うと、チャイムの音を機に前を向いた。