私を睨んだ夕凪さん、鷹羽くんの爽やかな笑顔。

 変に胸がドキドキして高鳴る。なんでだろう?

 一曲ループで何度か聞いたイントロの音が響いて来た時、ぽんと肩に手を置かれた。

 私は慌ててイヤホンを外した。

「有馬」

「え。鷹羽くん……?」

 私の見間違いではなかったら鷹羽くんの横には夕凪さんが居て、彼と親しい関係を表すようにして腕を組んで、私のことを挑戦的に見ていた。

「……待たせたのに、ごめん、俺。今日は、夕凪と帰る……本当にごめん」

 鷹羽くんは暗い顔で私に頭を下げると、夕凪さんに引っ張られるようにして出口から出て行った。

「……え?」

 取り残された私は、目の前でさっき繰り広げられた展開が信じられず、そこにしばらく突っ立ったまんまだった。