学校内での主役と言っても差し支えないくらい何もしなくても目立って、常に皆の輪の中の中心に居る存在。というか、もし一人で居たとしても自然と彼の周囲には人が集まって来るという、チートを持っている。

 黒いサラサラの髪に、端正で理知的な顔立ち。息を呑むくらい爽やかな笑顔に、どの角度から見ても満点の容姿。

 もちろん容姿が良いだけじゃなくて、頭も良くて部活でもエース。絵に描いたような、文武両道。

 神様がここだけはと、ピンポイントで気合いを入れて創ったみたいな奇跡の人だ。

 私から見れば同じ教室の中でも鷹羽くんの周りだけ、なぜか光って見える。そんな表現が冗談にならないくらいに、主役級に輝いている人だ。

 私の中では、たとえ距離が近くても、とてもとても遠くに感じる人。

 実際に離れている距離はほんの数メートルかもしれないけど、この学校の生態系頂点にいる彼との距離は走っても走っても追いつかないくらい。

 きっと、親しく喋ることも関わることも、この先ないんだろうなって……ずっと、思ってた。