「付き合ってから、知ったら良いじゃーん。鷹羽くんと付き合えるなら、代わって欲しい人たくさん居ると思うよ?」

「確かに格好良いと思うけど……隣に立っていたとしたら別世界の住人だもん。付き合うなんて、考えたこともない。好きって良く分からなくて」

「もー、澪ってば、そんな恋愛なんてわからないみたいなこと言って……今からでも間に合うから、やっぱり私と付き合おうって言ったら?」

「え?」

 寧々ちゃんは、意気揚々と私の顔を指さした。

「だって、澪。告白を断ったのを、後悔してるって顔に書いてある」

「そんなこと……」

 ないよって言おうとして、私は顔を両手で覆った。顔に熱が集まって来た。

「わかる」

「なにが」

 寧々ちゃんはメトロノームみたいにチッチッと指を左右に振った。

「あの鷹羽くんと、付き合えるんだよ? 悪魔に魂売っても良いって子も居ると思うようなこの状況だよ? 私も夢だと思うと思う。けど、絶対告白は断ってないと思う」

「言いたいことはわかるけど、そこまで?」

「例えば、だよー。分かってないなぁ」

「寧々ちゃん。もう。声大きいよ」