「え?! 告白されたけど、断ったのー? なんで?!」

 私は寧々ちゃんの素っ頓狂な声を聞いて、口に人差し指を当てて周りを確認した。結構な人数が私たちの近くを通り過ぎて、自分の教室へと向かっている。特に気にしてないみたいだ。よかった。

 私に告白してきた相手が、まさか鷹羽くんだと思っていないせいなのかもしれない。


「鷹羽くんと付き合うなんて、考えらたこともないし……突然、告白されてもう頭が真っ白になっちゃって」

 もうどうして良いかわからなかったのだ。口をもごもごしながら、私は答えた。

 なんでって聞かれても、こっちがなんでって聞きたい。

「もったいない! あの鷹羽くんだよ?! 何が不満なの? 顔よし性格よし頭もよし、そして……」

「そして?」

「バスケ部で鍛えられた長身の身体もよし!」

 はぁと私はため息をついた。寧々ちゃんは、すぐに暴走する。

 けど、自分の中で留めておくには大きな出来事すぎて、朝来てすぐに人通りが少なめの廊下で、昨日図書室であったことを聞いてもらった。

 最初は確かにひそひそ声だったけど、寧々ちゃんの声は興奮で、結構な音量になってきている。

「だって、良く知らないし……」