彼が魅力的過ぎるせいで起こった事態だけど、それが鷹羽くんのせいなのかと言うと、そうでもないと思う。

 外見が格好良い人だって、皆に羨ましいと思われるだろうけど、そういうこともあるもんね。良いか悪いかは良くわからない。

「……うん。あの……有馬。俺。夕凪に脅されていること、今日、部活の皆に言おうと思うんだ」

 廊下でひと目を気にしつつ鷹羽くんがそう言ったので、私は驚いた。彼はそうしたくないからこそ、悩んでいたはずなのに。

「え? けど……」

「うん。今更って感じだと思うけど……俺も、そろそろ精神的に参っている。俺だって頑張っている部活で、一緒に居る皆のことを盾に取られて脅されるって、気分良くないよ。正直。後輩にあれの真偽を含め確認して、先輩にも何があったか、ちゃんと言う。わかってくれると思うし」

 鷹羽くんの言いたいことはわかる。彼だって本当はしたいことを彼女のせいで出来なくて、すっごくイライラしたと思うし、嫌だったと思う。

 けど、そうしてしまえば、バスケ部全員から夕凪さんは嫌われるだろうし、彼らを通じて、全校生徒に明かされてしまうだろう。