「夏ってさ、暑いしベタつくし、大嫌いだけど、レイナが居てくれるから、夏も悪くないなって思う」

大嫌いな夏。私も得意じゃないけど、君と過ごす夏だけは本当に大好きだったよ。

夏祭り当日の夜、仕事を終えた2人は浴衣に着替えて待ち合わせ。

髪をお団子にするのは難しくて時間がかかっちゃったけれど、君が「すげぇ可愛い」って顔を赤くして褒めてくれたから、頑張って良かったって思えた。

お祭りは家の近くでやっていて、たくさんの人で溢れていたね。

君は紺色の浴衣を着て、首には私とお揃いのネックレス。

「ビール飲も、ビール」

ぎゅっと力強く手を握って、子供みたいにはしゃぐ君が可愛くて。

「暑い日はビールだろ。はい、レイナの分」

キンキンに冷えたビールを私の頬に当てて、優しく笑うから、その笑顔を独占したくて、もっと触れたくて、欲張りになっていった。