わたしは、ビルの屋上から、ある男をライフルで狙っていた。
その男は、向かいのビルの一階から出てきた。
わたしは、狙いを定めた。
すると、携帯が鳴ったので、わたしは出た。
「君がそこにいるのは、最初から分かっている」
「そんなの嘘よ」
「本当だ。後ろを見てみろ」
また違う男が、いつの間にか拳銃をわたしに向けていた。
「降参だわ」
「君にしては、物分かりがいいな」
「そう? そうでもないわ」
すると、わたしは、口に2本の指を入れ、口笛を吹いた。
銃声が、響いた。
その銃声は、遠くのビルの方から聞こえてきた。
わたしを銃で狙っていた男が、銃を放り投げながら、
悲鳴を発した。
「そうくるか」
「そろそろお昼よ。なにか食べたい物ある?」
「そうだな。じゃぁ、君が作ったサンドウィッチでも」
「分かったわ。毒入りのね」
「僕は、代わりに君を映画に誘うよ」
「どんな映画?」
「恋愛ものだよ。あの映画だよ。数年前に一緒に観た
ハッピーエンドのね。リバイバル上映しているんだ」
「あなたは、映画好きだったわよね。でも、現実は厳し
いわよ。あなたは、わたしの標的」
「あの時の事を忘れたのかい?」
「もう、記憶にないわ」
「このゲームは映画だよ。もっとロマンティストに行こうじゃ
ないか。それでは、こちらも本気を出そうか」
「どういうこと?」
「振り向くな」
携帯越しに、男が言った。
わたしの後頭部に銃が突きつけられているのが、分かった。
「その男を怒らせるとヤバイことになるぞ」
「分かったわ。降参よ」
その瞬間、わたしは、ライフルを手放した。
そして、すかさず腰に差していた銃を取り出して、
後頭部を狙っていた男にむかって、引き金をひいた。
「もう、幕は降りたわ。この映画はバッドエンドよ」
END