この間も思ったけど、なんて
中性的で容姿が整った人なんだろう‥


髪も黒いし、ハーフとはまた違うけど、
背も高く、髪も長髪がよく似合ってる


亜耶なんて名前だったから、
てっきり女性だと思っていたからこそ
この方でかなり驚いた‥‥


「は、初めまして‥あ、初めてじゃない
 ですね。こんにちは。細川 茅葵と
 申します。よろしくお願いします。」



『そんな堅苦しくなくていいよ。
 ここのスタッフはみんな個性的だけど
 敬語とか緩いから。』


あっ!
この間家に尋ねてきてくれたユイさん!


すごい‥‥仕事中でもそのスタイルを
崩されず働かれてるなんて‥‥


ツインテールからサラサラの黒髪が
垂れ下がり、大きなリボンが沢山
ついたピンク色のフリフリな服を
着こなしている。



「あ、あの‥本当に私がアシスタントで
 いいんでしょうか?」


フロアから2階に伸びる階段を上がり、
資料などの本やディスクなどが沢山
壁中にオシャレにディスプレイされて
いる空間で山岡さんに聞いてみた。


ここは本当に素敵な空間だし、
会社というよりもリラックス出来る
カフェのような雰囲気もある


『書面に書いた通りだよ。
 君のデザインに惹かれたから
 一緒に働きたいと思った。』


本棚にもたれ、腕組みをしながら
私に向けられる視線を感じた後、
山岡さんに向かって頭を下げた。


「ありがとうございます‥‥‥。」


初対面で泣いてはいけないのに、
たったその一言だけで、涙が
溢れてしまう‥‥


もっと何か話さないといけないのに、
嗚咽を漏らさないように手の甲で
口元を押さえるしかなかった‥‥


遅刻して社会人としても大人としても
マナー違反をしてるにも関わらず、
あんな醜態をさらした人のデザイン
なんて見るに値しないのに、
この人はただただわたしのデザインを
褒めて下さった。



「ここで沢山学んで、アシスタント
 出来るよう頑張ります。
 山岡さん、よろしくお願いします」



ハンカチで目元をグッと押さえると、
山岡さんに向かって笑顔で挨拶を
すると、山岡さんも口元を緩めて
笑ってくれた。


社内をある程度案内してくれ、
働いているスタッフの紹介を
順番にし始めた。


『うちのスタッフはそれぞれが
 独立した形で委託で入ってる。
 共同するデザインもあるけど、
 俺はグラフィックデザインがメイン、
 ユイはブックデザイナー、
 天音(あまね)はWEBデザイン、
 萩(はぎ)はフォトグラファー。
 こんな感じでそれぞれ得意な分野を
 メインに仕事をしてもらっている。』