ピンポーン


「ん‥‥‥‥」


ピンポーン


さっき寝ついたばかりの重い瞼を
開けたあと、手探りでサイドテーブルの
上のスマホを手に取ると思いのほか
10時をとっくに過ぎていた。


誰だろう‥‥


約束なんてしてなかったし、
宅配すら何も頼んでないんだけど‥‥


重い足取りでモニターに向かい
画面を映すと、みたこともない小柄な
個性的な女の子が映っていた。



「‥‥はい、どちら様ですか?」


見かけで判断してはいけないものの、
いわゆるロリータ調の女の子は、
テレビでよく見るメイド喫茶にでも
いそうな出立ちだ



『こんにちは。お使いできました
 ユイと申します。細川 茅葵さんの
 お宅で間違い無いでしょうか?』



お使い?


使う言葉すら独特でどう返していいか
分からないけど、私のことは
知っている感じだ‥‥誰だろう?


「はい、そうですが‥‥
 どういったご用件ですか?」


目を擦りながら
4時間ほどしか眠れてない為
頭も働かず大きな欠伸が出てしまう


『行けば分かるって行ったのに、
 伝わってないじゃん‥‥。
 FTF デザイン事務所のものです。
 細川さんをお連れするよう
 お使いに来たんです。』


えっ?


今なんて言った?


聞き間違いじゃなければ、
デザイン事務所って聞こえた?


慌てて玄関先に向かい鍵を開けると、
ドアモニターで見るより更に
お人形のような出立ちの女の子が
目に入って驚いた。


「お待たせしてすみません‥。
 あの起きたてで申し訳ないですが
 ど、どうぞ‥‥。」


パジャマならまだしも、部屋着で
出迎えてしまったことに今更気付き、
手櫛で髪の毛を整えていく


『構いませんよ。いきなり尋ねたのは
 こちらですから。ではお言葉に
 甘えてお邪魔させていただきます。』


小さくお辞儀をしてニコッと笑った
彼女が可愛くて、私も笑顔で頭を下げ
室内に招き入れた。


「す、すみません。少しだけ
 着替えて準備しますので5分ほど
 いただけないでしょうか?
 あ、こちらのリビングで
 お待ちください。」