うつ伏せで寝ている私にふわふわの
ブランケットをかけてくれると、
その上から絶妙な力加減でマッサージが
始まり、あまりの気持ちよさに
脳内から幸せが溢れそうになる


この人‥‥何者なの?


「山岡さんは私の雇い主です。
 それ以下でもそれ以上もないです。」


『えっ?そうなの?
 私の女の勘は当たるんだけど‥‥
 亜耶が自分から誰かを連れてきて
 雇ったことにも驚いたけど、
 まさかここに住ませるなんてね。
 茅葵ちゃんには亜耶の心を動かした
 何かがあるのは確かよ?』


そんなことはないと思うけど‥‥
というか、モモさん男だし‥‥


山岡さんはいまだに何を考えてるのか
よく分からないし、女慣れしている
と思うくらいスキンシップも激しい


新しく入ってきたわたしが面白いから、
オモチャのように飽きるまできっと
そうするだけだと思う



「デザインは尊敬してます‥‥‥。
 だからここに来れて‥良かっ‥」


ああ‥‥寝ちゃダメなのに、
モモさんの最高のマッサージで
全身が温まり瞼が重くなっていく‥



だって今日は本当は昼くらいまで、
アラームかけずに寝るつもりだった


それをデザイン画あげるのに夢中で寝ずに過ごしていた山岡さんが、朝早くから椅子から転げ落ちる音で目覚めたから
眠くて仕方ない‥‥‥



ガチャ


『寝ちゃった?』


『ええ‥‥楽しい夢でも見てるのか
 ぐっすりよ。
 それにしても面白い子を拾って
 来たのね?』


『‥‥‥うん。
 久しぶりに目が離せない真っ直ぐな
 子で困ってる。』


『いいんじゃない?
 亜耶がそれで前に進めるなら。』


『‥‥‥』


『もう忘れなさい‥‥彼女はここには
 戻らないんだから‥‥』



夢の中で、山岡さんとモモさんの
声が聞こえた気がしたけど、
温かさに包まれながら頭を撫でられる
気持ちよさに私は深い眠りについた



あれから3時間近くも爆睡してしまった
私が目覚めると、隣に山岡さんが
眠っていてそれだけで驚いた私は、
狭いシングルベッドのマットレスから
思いっきり突き飛ばし、また怪我を
悪化させてしまった


「‥‥‥すいませんでした。
 その‥‥怪我もですが寝てしまって」


モモさん起きたら居ないんだもん‥‥
本当にマッサージ気持ちよかったし、
体がかなりラクになってるから
今度お礼がしたいな‥‥


『‥茅葵って男に免疫ないわけじゃ
 ないよね?』