小春は美人なその白銀先輩を尊敬の眼差しで見つめている。
ドキ、ドキ、ドキッ……
「ん?どうしたの?すばるん」
どうしよ…めっちゃ……
「いや、なんでもない」
なんなのこれ!?!?
「あなた、名前は?」
白銀先輩は私に問いかける。
「鬼塚、すばるですっ!」
「すばるちゃんね、覚えた!」
白銀先輩は私をみて微笑む。
そして「じゃあ、これで」と言って行ってしまった。
「綺麗で、素敵だよね、白銀先輩」
「うん…」
どうしてだろう。
私の心臓の音が、隣にいる小春や周りの人に聞こえてしまうんじゃないかってくらい高鳴ってる。
どんな物語の、ヒロインを救ってくれる王子様とは正反対の、お姫様のような人。
(どうしよう…。)
「すばるん?」
「あぁ…行こっか」
違う!
私が憧れているのは、あのキラキラのカッコ良い王子様みたいなものでしょ!?
一瞬の気の迷いだ。
「すばるん、なんか変。」
「…変じゃないし」
そう変じゃない。
自分に言い聞かせた。