その中に高校で知り合ったばかりの私が入っていることが少し嬉しく感じる…!
「…小春はいいなぁ。」
「すばるん可愛いから大丈夫だよー」
同性から見たら、ね?
異性から見たら…もちろん可愛い!と言われたことが無いわけではないけど、"彼女"にしたい、というよりは"妹"にしたい、と言った方が正しいだろう。
確かに今までと違う私で、伸び伸びして生活しているけど、うーんって感じで…
「危ない!」
「えっ」
「きゃっ」
色々考えてしまって、移動教室までの廊下、私は明らかにぼーっとしていた。
小春の声が耳に入った頃には遅かった。
「白銀先輩!?」
「あ、桐沢さん。…ごめんなさい、あなた。私がよそ見していて。」
「あ、っ、あ、すみませんっ!!!」
高い背を屈めて、後ろに尻もちをついた私に目の前の人物はそっと手を差し出す。
私はその手を取り、ひょいっと立ち上がった。
って、
「…美人。」
「白銀先輩!すみません!」
「桐沢さんのせいじゃないよ。あなた怪我は無い?」
私が小声でボソッと咄嗟に口から出てしまった声はどうやら二人の耳には届いていなかったらしい。