――で。
冒頭に戻ります、けども!
どうしてこうも嫌なことって続くのだろう。
自分の運の無さ、巡り会いの悪さにはつくづく困り果てる。
最後に深い口づけを交わして、視界の男女はふたり連れ添い、煌びやかなネオンの街並みの闇に溶けていく。
「はぁ……、私も帰ろ」
ようやく行動を許された状況にほっと安堵しつつ、先ほどまで目の前で繰り広げられていた濃厚なラブシーンと卑猥な喘ぎ声を思考から弾き出すように頭を横に振った。
新宿、か。
普段は仕事帰りでもなければ立ち寄ることもめったにないけれど、ここは本当に、噂通りの眠らぬ街だ。
いつ来ても人で溢れていて、夜は昼間よりも眩しい光が立ち込めていて一帯は絶えず喧騒に包まれている。
用もなければ来たくなんてないものだけど、家、探さないといけないしなぁ……。
私は再び、空気より重いため息を吐いて、駅への道を歩き出した。