「美怜、正直に答えてね。怒ったり咎めたりしないから。私達、ただあなたのことが心配なだけなの」
「は、はあ…」

着替えもそこそこに、美怜はロッカールームで先輩達に取り囲まれた。

佳代が真剣な表情で切り出す。

「夕べ、本部長と、その…ホテルに泊まった…の?」
「はい」

すると、ギャー!うそでしょー!と先輩達は悶絶する。

「それで?その…。どこまで?」
「は?どこまでとは?」
「だから、つまり。どこまで、やっちゃった…の?」

だんだん小さくなる佳代の声と、固唾を飲んで身を乗り出す先輩達に、美怜はようやく、ああ!と合点がいった。

「違いますよ、そういうんじゃないんです。昨日はルミエールのクリスマス装飾の日だったので、本部長と卓と一緒に作業しに行きました。終わったのが夜遅くて、先方の副総支配人の方がお部屋を用意してくださったんです。卓が本部長と同室で、私はシングルルームで一人で寝ました」

なーんだ、と一斉に先輩達はため息つく。

「じゃあ、今朝スポーツカーで送ってもらった時も、卓くんいたの?」
「はい。後ろに乗ってましたよ」
「それならそうと、早く言ってよー」

え、いや、だって、と美怜は宙に右手を出す。

「もう、私達今日一日、なんとか正気で仕事しようと必死だったんだからね?」

そうおっしゃられましても…

「美怜が、あの美怜が、ついに純潔を捧げたの?!って」

そ、そんな赤裸々な…

「良かったー。じゃあ美怜は清らかなままなのね?」

まあ、そうですね。キスより先はまだ…

「…え?」

ピキッと固まった先輩達に、美怜は再び、ん?と首をひねる。