「で?どうします?」

二枚のカードキーを手に、卓が成瀬に尋ねる。

「どうしますって、何が?」
「ですから、誰と誰が同じ部屋で寝ますか?」
「そんなの決まってるだろ」
「いいんですか?本当にそれで」
「当たり前だろ、って、ちょっと待て!お前の頭の中ではどうなってる?」
「それは、やっぱり…。ねえ?」
「意味ありげにもったいぶるな!」

どうして毎回こんなふうになるんだろうと思いながら、美怜が手を挟んで止める。

「私は何でもいいですから。お二人で決めてください」
「え、いいの?美怜。じゃあそうしよっかな」
「富樫!そうしようって、どうするつもりだ?!結城さん、ほら。早くシングルの部屋に行きなさい。ドアのロックしっかり掛けてね。富樫が来ても絶対に開けないように」

そう言って成瀬は、卓から奪ったカードキーの片方を美怜に手渡すと、早く行けとばかりに背中を押したのだが…。

「成瀬さん、そっちのカードキーがシングルルームなんですか?」

卓の言葉に、成瀬はピタリと動きを止める。

「え、分からん」
「ですよね。まあ、美怜がツインルームを一人で使っても俺は全然構いませんけど?成瀬さんと俺がシングルベッドに二人で寝れば…」

わあー!と成瀬は声を上げて卓の言葉をかき消した。