コンベンションセンターの打ち合わせの日がやって来た。

美怜は朝から本社に出勤して、卓やコーディネーター達と最終確認をしてから、湾岸エリアのコンベンションセンターに向かう。

待ち合わせしたエントランスでは、ミュージアムを案内した時の男性職員五人が出迎えてくれた。

最初に広い会場を説明を受けながら見て回り、ある程度イメージが湧いてきたところで、イベントの主催者達が到着した。

名刺交換をしたあと、早速内容を詰めていく。

「ではこの見取り図に沿ってご説明いたします」

卓が配った資料には、会場内のどこにどんなお花を飾るのか、写真つきで説明があり、とても分かりやすかった。

(卓、先方からこんなに詳しく聞いてくれてたんだ。仕事ができるなあ)

美怜は感心しながら、皆の注目を浴びつつも堂々と淀みなく話す卓を、尊敬の眼差しで見つめる。

「私からの説明は以上です」

話を締めくくった卓は皆を見渡し、最後に美怜と目が合うと、にこっと微笑んだ。

(え?なに?すごい余裕)

なぜだか美怜にも心のゆとりができて、自分の番になると、落ち着いて説明をすることができた。

バーチャル画像をスクリーンに映し出しながら、会場内の雰囲気やカラーなどを決めていき、最後はコーディネーター達が実際の布のサンプルを提示して主催者に選んでもらった。

「私達、お花のことばかり考えてたけど、こんなに空間デザインを凝ったものにしていただけるなんて、感激です。当日、楽しみにしています」
「ありがとうございます。ご期待に添えるよう、精一杯尽力いたします。何かありましたらお気軽にお知らせください」

主催者の品の良いご婦人達と握手を交わし、打ち合わせは無事に終了した。