「美怜、明日なんだけど。ホテルにチェックインする前に行きたいところある?」

いよいよやって来た美怜の誕生日前日。

夜に成瀬から電話で尋ねられ、美怜は控えめに答える。

「あの、実は行ってみたいところがあって」
「うん、いいよ。一緒に行こう。どこ?」
「えっとね、迎賓館赤坂離宮」

へえ!と成瀬は声のトーンを上げた。

「迎賓館か、俺も行ってみたかったんだ。よし、行こう。楽しみだな」
「うん!」
「じゃあ明日、十時に迎えに行くよ。あ、結婚式のドレス、忘れないようにね」
「はい!」

美怜は早くも、わくわくと待ち切れない。

電話を切ったあとは、念入りに持ち物を確認し、メエメエを胸に抱えてふやけた顔で眠りについた。