とは言え、週末にデートすると、美怜はいつもと変わらず無邪気に笑いかけてくれる。

その笑顔にホッとし、美怜と離れるなんて考えられないと想いを強くした。

相変わらず「本部長」と呼ぶのだけは変えて欲しいが、美怜は何分あの祖母とやり合う程の頑固者だ。
なかなかすんなりとはいかない。

それでもごく稀に「隼斗さん」と呼ばれた時の破壊力は凄まじく、成瀬はもう初恋をした中学生のように胸がドキドキした。

秋の気配が感じられるようになった頃。

卓と友香の結婚式の招待状が、美怜と成瀬のもとに届いた。

どうやら友香の父親のルミエール総支配人が、張り切って段取りを組んだらしい。

日程は十二月二十一日、大安吉日の日曜日。
そう、美怜の誕生日の翌日だった。