「美怜、ありがとう。美怜に出逢えて良かった。こんなにも幸せな気持ちにさせてくれて、ありがとう」
「私の方こそ、ありがとうございます。あなたに出逢えて良かった。私を過去の記憶から救ってくれて、ありがとうございます。あなたのおかげで、私はやっと幸せな一歩を踏み出せました」
「過去に辛いことがあったのなら、全て忘れさせてやる。もっと君を幸せにしてみせる。これから先もずっと」
「はい。私もずっと、あなたのそばにいたいです」
「美怜…」

成瀬はゆっくりと身体を起こし、綺麗な美怜の瞳を覗き込んだ。

「美怜、俺と結婚して欲しい」
「えっ…」
「どれだけ先になってもいい。俺が結婚したいのは世界中でただ一人、美怜だけだから。少しずつ、俺との未来を考えて欲しい。君の気持ちを、ちゃんと待つよ」

美怜はじっと成瀬を見つめると、うつむいて首を横に振る。

「美怜…?」

思わず不安に駆られて呟くと、美怜はキュッと唇を引き締めて顔を上げた。

「待たなくていいです」
「え、どうして…」
「私も同じ気持ちだから。この先もずっとずっと、あなたと一緒に生きていきたい。そう思えるのは世界中でただ一人。あなただけです」
「美怜…」

こんなに幸せな瞬間があるなんて。
こんなにも愛しい人に巡り逢えたなんて。

成瀬はギュッと強く美怜を抱きしめる。

「夢、なのかな?」
「ふふっ、そうかも?」
「夢でもいいよ。二人で一緒に覚めない夢を見ていよう」
「はい」

微笑んで見つめ合うと、成瀬は美怜の頬に手を添えて、うっとりする程甘いキスをした。

今は夢でもいい。
ここから先は現実に、自分が必ず美怜を幸せにする。

そう固く誓いながら、たくさんの愛情を込めて成瀬は何度も美怜に口づけていた。