「もう、信じられない!」
カーディーラーをあとにすると、車の中で美怜の小言が始まった。
「あんなに簡単に車買う人います?じゃあこれで、なんて、スーパーで大根選ぶんじゃないんですよ?」
「仕方ないだろ?美怜があんまり可愛くて。あの笑顔はプライスレスだ」
「プライスレス過ぎます!私の笑顔なんてワンコインで充分ですよ」
「え、五百円であの笑顔が見られるの?」
「いえ、十円です」
「安っ!」
賑やかに言い合いながら、都内の一等地にある、緑に囲まれた老舗ホテルに到着した。
駐車場の入り口で丁寧にお辞儀をしたガードマンに誘導される。
「おもてなしも一流ですね。自然が一杯で素敵!」
美怜は早くも窓の外の景色に釘づけになった。
駐車場に車を停めると、成瀬は車を降りる美怜の手を取り、そのまま自分の左腕に掴まらせて歩き出す。
流れるようなスムーズな動きに、美怜はしばらく意識がいかなかった。
なんだか妙に歩きやすいな、と思ってハッと気づく。
「ほ、本部長?」
「ん?なに」
「て、手が。あの、ちょっと恥ずかしくて」
「可愛いな」
「そうではなくて」
すると成瀬は更に、自分の右手を美怜の右手の上に重ねた。
まるで、離さない、とでも言うように。
仕方なく美怜は、成瀬の腕に掴まったまま寄り添って歩く。
恥ずかしくて顔を上げられない美怜に、クスッと成瀬は笑いをこらえていた。
カーディーラーをあとにすると、車の中で美怜の小言が始まった。
「あんなに簡単に車買う人います?じゃあこれで、なんて、スーパーで大根選ぶんじゃないんですよ?」
「仕方ないだろ?美怜があんまり可愛くて。あの笑顔はプライスレスだ」
「プライスレス過ぎます!私の笑顔なんてワンコインで充分ですよ」
「え、五百円であの笑顔が見られるの?」
「いえ、十円です」
「安っ!」
賑やかに言い合いながら、都内の一等地にある、緑に囲まれた老舗ホテルに到着した。
駐車場の入り口で丁寧にお辞儀をしたガードマンに誘導される。
「おもてなしも一流ですね。自然が一杯で素敵!」
美怜は早くも窓の外の景色に釘づけになった。
駐車場に車を停めると、成瀬は車を降りる美怜の手を取り、そのまま自分の左腕に掴まらせて歩き出す。
流れるようなスムーズな動きに、美怜はしばらく意識がいかなかった。
なんだか妙に歩きやすいな、と思ってハッと気づく。
「ほ、本部長?」
「ん?なに」
「て、手が。あの、ちょっと恥ずかしくて」
「可愛いな」
「そうではなくて」
すると成瀬は更に、自分の右手を美怜の右手の上に重ねた。
まるで、離さない、とでも言うように。
仕方なく美怜は、成瀬の腕に掴まったまま寄り添って歩く。
恥ずかしくて顔を上げられない美怜に、クスッと成瀬は笑いをこらえていた。