「えーっと、まずはエンジンをかけて。パーキングブレーキは?」
「ここだよ。で、ギアはこれ」
成瀬に横から教えてもらいつつ、美怜はパーキングブレーキを解除してギアをドライブに入れ、ブレーキペダルを踏んでいた足をゆっくりと浮かせた。
「わっ、動いた!動いたわよね?」
「ああ、動いたよ」
「なんてスムーズなの」
「いや、美怜。まだアクセル踏んでないだろ?これなら歩いた方が速い」
「あはは!そうだった。ではアクセル踏みまーす」
じわりと踏み込むと、車はスーッと伸びるように前に進む。
「すごーい!全然揺れない。なめらか!」
「えー、美怜さん。そろそろハンドル切らないと壁にぶつかりますよ?」
「はーい、先生」
美怜はご機嫌でハンドルを右に切る。
「み、美怜。ハンドルの切り方、独特だな」
「えー、それ程でも」
「いや、褒めてない」
成瀬は、なぜ手を交差せずにハンドルを切るんだ?と、まじまじと美怜の手元を見つめる。
更にはブレーキを踏むタイミングが遅くて、思わず足に力が入ってしまった。
「み、美怜さん、ブレーキは?通り過ぎましたけど?」
「あれ?いつの間に?」
スタート地点に戻って来ても止まる気配はなく、美怜はそのまま通り過ぎる。
するとセールスマンが後ろから声をかけた。
「では奥様、もう一周お願いします」
「はい、喜んで!」
美怜は元気良く返事をして、アクセルを踏む。
だが完全にスタート地点が分からなくなっているようで、またしてもスーッと通り過ぎた。
結局合計三周し、ここでーす!と成瀬が声をかけてようやく美怜は車を止める。
「ふう、やれやれ。どうだった?美怜」
肩の力を抜いた成瀬が、美怜に尋ねる。
「とーっても楽しかった!」
美怜の弾ける笑顔に目を見開いて見とれたあと、成瀬は後ろのセールスマンを振り返った。
「じゃあ、これにします」
その言葉に、美怜は、ヒーッ!とおののいた。
「ここだよ。で、ギアはこれ」
成瀬に横から教えてもらいつつ、美怜はパーキングブレーキを解除してギアをドライブに入れ、ブレーキペダルを踏んでいた足をゆっくりと浮かせた。
「わっ、動いた!動いたわよね?」
「ああ、動いたよ」
「なんてスムーズなの」
「いや、美怜。まだアクセル踏んでないだろ?これなら歩いた方が速い」
「あはは!そうだった。ではアクセル踏みまーす」
じわりと踏み込むと、車はスーッと伸びるように前に進む。
「すごーい!全然揺れない。なめらか!」
「えー、美怜さん。そろそろハンドル切らないと壁にぶつかりますよ?」
「はーい、先生」
美怜はご機嫌でハンドルを右に切る。
「み、美怜。ハンドルの切り方、独特だな」
「えー、それ程でも」
「いや、褒めてない」
成瀬は、なぜ手を交差せずにハンドルを切るんだ?と、まじまじと美怜の手元を見つめる。
更にはブレーキを踏むタイミングが遅くて、思わず足に力が入ってしまった。
「み、美怜さん、ブレーキは?通り過ぎましたけど?」
「あれ?いつの間に?」
スタート地点に戻って来ても止まる気配はなく、美怜はそのまま通り過ぎる。
するとセールスマンが後ろから声をかけた。
「では奥様、もう一周お願いします」
「はい、喜んで!」
美怜は元気良く返事をして、アクセルを踏む。
だが完全にスタート地点が分からなくなっているようで、またしてもスーッと通り過ぎた。
結局合計三周し、ここでーす!と成瀬が声をかけてようやく美怜は車を止める。
「ふう、やれやれ。どうだった?美怜」
肩の力を抜いた成瀬が、美怜に尋ねる。
「とーっても楽しかった!」
美怜の弾ける笑顔に目を見開いて見とれたあと、成瀬は後ろのセールスマンを振り返った。
「じゃあ、これにします」
その言葉に、美怜は、ヒーッ!とおののいた。