ようやく走り出した車は、まずはカーディーラーに向かった。

「国産なんですね。今のスポーツカーが外国の車だから、てっきり次もそうかと思ってました」

到着すると、美怜は少し意外そうに看板を見上げる。

「特にメーカーのこだわりはないんだ。それに車と言えば、やっぱり日本車が強いしね」
「確かに。そう言えば、本部長。卓とは話せましたか?」
「ああ、昨日ちょうど執務室に書類を届けてくれてね。話してみたら、いいんですか?って目を輝かせてた。相応の金額をお支払いしますって言うから、今のお前の給料では無理だって黙らせたよ。ま、実際はあいつの給料で買えるけどね」

黙らせたって…と、美怜は苦笑いする。
なぜだか二人はいつも揉めている印象だ。

(でもそれが卓と本部長の関係なんだもんね。上司と部下っていうよりは、信頼し合った友達みたいな)

そんな二人の関係性がうらやましくなり、美怜は、私も本部長ともっと良い関係になりたいな、と漠然と思った。