「美味しかった!デザートも色々あってもう大満足」
「すごい量食べてたもんな。空になった蒸籠を積み上げたら、二メートルは超えそうだったぞ」
「まっさかー!嘘でしょ?!」
「明日、制服のファスナー閉まるといいけどな」
「ギクッ!それは冗談に聞こえない」

食後のジャスミンティーを飲みながら、美怜は店内を改めて見渡す。

「ここのインテリアも素敵ね。うちは西洋家具と国産家具に力入れてるけど、アジアンテイストのオリエンタルな家具ももっとあったらいいな」
「そうだな。ホテルや中華街にあるレストランにも売り込めそうだし」
「雑貨屋さんにもいいかも。あとは、家庭のちょっとしたコーナーに置ける照明や棚とか。今度社内コンペに出してみようかな」

そう言うと美怜はカバンの中から手帳を取り出し、サラサラと鉛筆を走らせる。

「こういうちょっとした織物とかタペストリーもいいかも。オリエンタルな模様と色合いで…」

その手元を覗き込んだ卓は、思わず吹き出した。

「なんだよこれ?ひとだまに、こっちは化け物?」
「違うわよ!どこからどう見ても、まが玉とゾウでしょう」
「ええー?この不気味な丸い物体が?お前、画伯系だな。はい、コンペ即落ち」
「ひっどーい!いいもん。もしこれが商品化されても、卓には絶対に売らせないもんね」
「それは助かる。売れる自信が微塵もないからな」

むーっ!と美怜が睨むと、卓は勝ち誇ったように、へへん!と反り返る。

「なーに?その幼稚園児みたいなえっへんポーズは」
「なんだと?!」
「あら卓ちゃん、可愛いでしゅねー」
「やめんかい!」

あはは!と美怜は明るい笑い声を上げていた。