「わあ、どれもこれも美味しそう!」

やがて運ばれてきたたくさんの小さな蒸籠を覗き込んで、美怜は笑顔になる。

小龍包やホタテの焼売、ちまきにエビの蒸し餃子など、どれから食べようかと目移りした。

「熱いうちに食べなよ。あ、お前確か猫舌だったよな。気をつけろよ、特にこの小龍包とチャーシューまん。いいか?中身熱いからかぶりつくなよ。って、聞いてるのか?」
「うん、美味しそうよね。いただきまーす!」

美怜はパクッと小龍包をひと口で頬張ると、次の瞬間、んーーー!と悶絶して涙を浮かべる。

「だから言ったのに!ほら、お水」

差し出されたグラスを急いで受け取ると冷たい水を口に含み、ようやくゴクンと飲み込んだ。

「はあー、びっくりした。口の中が火事になったかと思った」
「まったくもう。舌、やけどするぞ?なんでゆっくり食べないんだよ」
「だって美味しそうなんだもん」
「だからって、料理は逃げないぞ」
「卓に全部食べられちゃうじゃない?」
「食べねーよ!ったく」

ブツブツ呟く卓の小言を聞き流し、美怜は今度こそ落ち着いてゆっくり味わった。