「美怜さん、私、足がなくなった気がします」
「大丈夫、ちゃんと二本あるわよ」
「でもなんだかふわふわして、歩けないんです」
「そうね。どちらかと言うと引きずられてるかも」

レストランを出るとヨロヨロと足がおぼつかなくなった友香を、卓が横から支えて歩く。

だが友香は感覚がないのか、ひたすら反対側の美怜に話しかけていた。

「なんだか身体が宙に浮いてるみたいに軽いです。魔法使いになったのかな?」
「残念ながら魔法ではなく、人力よ」

卓は美怜達の部屋まで来ると、ベッドに友香を座らせる。

「美怜、あとは任せてもいいか?」
「うん、大丈夫。おやすみなさい。また明日ね」
「ああ、おやすみ」

成瀬にもおやすみなさいと挨拶してから、美怜はドアを閉めた。