「という訳なの。どう思う?美沙」

仕事を終えるとその日のうちに、佳代は美沙を食事に誘った。

美怜の言葉をそのまま伝え、自分の想像と美沙の想像が同じかどうかを確かめる。

「うーん…。卓くんが美怜に告白して美怜が断った、としたら、美怜の『プライベートの時間を大切にして欲しい』なんて言い方変だよね?」
「そうなのよ。つまり美怜は、卓くんにプライベートの時間を大切にして欲しいからもう会わない方がいいと思ってる。この意味って?」
「考えられるとしたら、美怜の勘違い。つまり…」

『卓くんに彼女ができたと思っている』

重なった声に、二人は同時にため息をつく。

「やっぱりそれしかないよね」
「うん。卓くん、大丈夫かな?きっと告白する前に美怜に勘違いされたんだよね」
「そうなるよね。しかもそれを否定できずにいる」
「うわ、本当に心配。どうする?佳代」

佳代は腕を組んで宙に目を向ける。

「何とかしてあげたいけど、私達じゃ迷惑なだけかな。でもなあ、話を聞くくらいならできるし。でも卓くんは嫌かな?でも…」
「もう佳代ったら。でもでもばっかり!迷ってないで聞いてみなさいよ」
「うん、そうだね」

頷くと、早速佳代はスマートフォンを取り出し、卓の携帯番号にメッセージを送った。

『卓くーん!お疲れ様。今美沙と食事してるんだけど、一緒にどう?』

ドキドキしながら返信を待つ間、迷惑なら断ってくるよね、と美沙と頷き合う。

すると意外にも、『じゃあお邪魔してもいいですか?』と返事がきた。

おお?!と佳代は、思わずスマートフォンを落としそうになる。

美沙と手を取り合って喜び、『うん、いつものお店で待ってるね』と送った。