「という訳なんだけど、どう思う?卓」

着替えを終えて帰宅した美怜は、卓に電話で相談する。

「確かにルミエールには様子を見に行きたい気持ちはあるけど、こっそりなんて無理そうだし。疑似デートも、忙しいこの時期に行かなくてもいいかなって思うんだけど」

すると電話口の卓も、うーん、と考えあぐねている。

「じゃあさ、ルミエールの視察だけ行く?あとは、バレンタインデー当日はどこも予約が取れなくて行けなかったってことにすれば?」

卓の言葉に、美怜は、なるほど!と納得した。

「確かにそうだね。その日はカップルの行きそうなところなんて、どこも混んでるだろうし。うん、そうしよう」
「ああ。佳代先輩もそれなら納得してくれると思うしな」
「そうだね。ありがとう、卓。じゃあ、本部長に連絡しておくね。お忙しそうなら、私達二人でルミエールに行って、倉本さんに挨拶してこよう」
「分かった。決まったらまた連絡して」
「うん。ありがとね、卓」

電話を切ると、美怜は早速成瀬にメッセージを送る。

すると意外にもすぐに、「分かった。一緒に行こう」と返事がきた。

「ええ?!本部長、お忙しくないのかな?」

心配になりつつも、それ以上やり取りするのもご迷惑かと思い、美怜は「よろしくお願いいたします」とだけ書いて送信した。