レストランを出て、読書会は今度こそ解散。

しかし…。

「ちょっと!何でついてくるのよ?」

思わず、昔のようにツンケンした口調になってしまった。

「何でって言われても、僕もこっちなんですよ」

「そう…」

「先輩、今は何処に住んでるんですか?」

「実家が職場だし、貯金もしたいから、まだしばらくは実家で暮らすつもり」

「僕もですよ。じゃあ、殆どご近所みたいなもんじゃないですか。それなのに、一度も会えなかったなんて…。でも、こうして再会できたからいいんですけどね」

チラリと隣を盗み見ると、相変わらず嬉しそうな顔をしている。

わけがわからない。

自分を嫌っていた相手と再会して、何故嬉しいのか。

私だったら、自分を嫌っていた人と再会するのは怖いのに。

自分を嫌っていた人…。

不意に、切なさが胸をよぎる。

「先輩?」