読書会のあとには、いつも皆で食事してから帰るのが恒例だ。

カジュアルなイタリアンレストランで、いつもは年上メンバーたちと他愛ない話をしていたが、今日は森川が隣に貼り付いて話し掛けてくる。

「先輩。もう丸8年以上、一度も会ったことなかったですよね。何処の高校だったんですか?」

「ああ…高校はM大付属。何度も受験したくなくて」

「上京してたから会えなかったんですね。風の噂で、先輩が田舎を離れたと聞いてはいたものの、海外のハイスクールに行ったとか、宝塚に合格したとか、いい加減な情報ばっかりで」

正直、森川と突然再会した瞬間から、戸惑い続けている。

見た目は、まるで別人。

中身は、変わったような、変わっていないような…。

今、あの頃のように誰彼構わず媚を売っていないのは、読書会の年齢層が高いからなのか、彼自身変わったからなのか。

「先輩?なんか無口ですね」