「ずっと先輩のことが好きだったんです。最初は、どうしてこの人は冷たくするんだろうと、気になるところから始まって。いつからか、嫌われるほどに惹かれていくから、自分でもどうかしてると思いましたけど」

森川って、ドMなのだろうか。

「じゃあ、もう私には興味なくなるかもね…」

「そんなわけがないでしょう?ずっと、先輩のことを探してたんです。SNSをやっていれば先輩に辿り着けるかと思ったのに、先輩はネットやらない人だから、当然見つからない。いろんな人に先輩のことを聞いても知らないと言われるから、もう無理なのかと諦めかけた時、思いがけないところで先輩を見つけたんです」

「読書会のこと?」

「その少し前のことです。何となく広報誌を見たら、先輩の写真と読書会の案内が載ってたんです。同姓同名だし、いくらファッションが違っていても、好きな子のことはすぐにわかりますよ」