もし今、私が告白しようものなら、

「思わせぶりな態度をとったりしてごめんなさい…!」

とでも言って、振られるだろうか。

そうだとしても無理もない。

何でもかんでも、水に流せるものではないと思うから。

今夜は満月。

きっと実らないこの想いは、Cry for the moonといったところか。

それでも伝えたい。

森川を困らせないように、誤魔化しがきくように。

「森川」

「何ですか?」

「月が綺麗ですね」

この告白なら、誤魔化しがきく。

それ以前に、通じないかもしれないが。

「ひゃっ…!」

いつの間に、私は森川の腕の中にいた。

「ちょっと、どうしたのよ?」

急に抱きしめられ、困惑してしまう。

「これが自分にとって都合の良い夢じゃないか、先輩をちゃんと感じたいから…」

私を抱きしめる腕の力は強いのに、言葉は少し弱気で、そんなところも含めて、今は愛しい。