実に馬鹿馬鹿しい話だが、その男とは、私のファッションのことで衝突し、すぐに別れた。

ステレオタイプな“可愛い女”を求める男と、自分のスタイルを崩したくない私。

もしかしたら、デートの時ぐらいは男が好きそうな格好をしてみてもよかったのかもしれない。

しかし、それではいつかきっと、私のほうが辛くなってしまうだろう。

「先輩?またなんか沈んだ顔になってますけど、大丈夫ですか?」

「え?うん!」

そう言って笑顔を作ったあと、

「森川は、こういうファッション嫌い?」

それとなく尋ねてみた。

「いいと思いますよ。私服姿の先輩ってまだ3回しか見たことがないから、どんなファッションが好きなのかと思っただけです」

否定されなかったことに、何故か安堵する。

「まあ、露出度高くてセクシーすぎる気はしますけど、今夜は僕が一緒だから大丈夫ですよ」