「早かったのね」

「いやー…早く会いたいから早く来たんですけど、よく考えたら待ち合わせよりずっと早く来ても意味ないですよね」

「ホントにね」

つい笑ってしまった。

「でも、予定より10分早く会えました」

その人懐こい笑みは、あまりに目映い。

「先輩って、いつもそういうファッションなんですか?」

夏祭りの神社へ向かう途中、尋ねられた。

今日の私は、髑髏マークキャミソールにショートパンツ、胸元には薔薇の、腕には十字架のタトゥー風シール。

「割といつもこんな感じかな。仕事中は、日焼けしないように長袖だけど、もう夜だし、暑いし」

そう答えた時のこと。

「里佳子って、可愛く見られたいって気持ちはないわけ?」

またしても、過去に付き合った男の台詞がフラッシュバックする。

「普通、デートの時は、もっと女の子らしくて可愛い格好するものじゃない?」